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何もない一日じゃないはず

頭をひねれば、なにかは出てくる

映画クレヨンしんちゃんガチンコ!逆襲のロボとーちゃん

映画

『映画クレヨンしんちゃんガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』を観た。

現在ではしんちゃんは時間がある時にはぜひ観たいと思うくらいではあるが、小さな頃から自分の人生と共にあるアニメであるので、その思い入れはなかなか強い。

映画クレヨンしんちゃんにおいて、名作が2つある。それは『オトナ帝国の逆襲』と『あっぱれ戦国』。この2つは言わずと知れた名作であり、本来子ども向けであるしんちゃんが大人まで楽しむことができるものだと認識させた。後者は実写化もされた。

結論から言うと、今作『ロボとーちゃん』はそれらに次ぐ名作であった。

最初タイトルを知った時は素直に「なんかダメな気がする」と感じ、「ロボになるってどういうことよ」なんて思ったが、どうやら面白いらしいというウワサを聞きつけて観ることにした。

するとしんのすけの父であるひろしがロボになる流れは自然で(もちろん今の技術を考えればロボになるのは自然とは言えないが)、こんなこともありそうと思わせた。

スタートからどんどん笑いポイントを盛り込んでいて楽しい。

その上で感動ポイントもある。何度も感情が揺さぶられる、まさに笑いあり、涙ありの作品になっている。

クレヨンしんちゃんの映画は家族をテーマにすることが多い。家族の大切さ、強さ等を改めて再確認させてくれる。今作もテーマは家族であるため、ほとんどの人が容易に感情移入できるのではないかと思う。

 

ここからネタバレを書いていくので、まだの人や知りたくない人はぜひ観た後で読んでもらいたい。絶対に後悔しないと思うのでぜひぜひ。

 

 

 

ネタバレ

 

 

 

 

最大のポイントは「とーちゃん(ひろし)がふたりになってしまうこと」だろう。物語の中盤で野原ひろしという人格を持つ存在がふたりいると知った時はこれをどう決着づけるかが気になった。確かにロボひろしはコピーではあるのだが、アヤしいエステから帰ってきた後の家の仕事をしたり、しんのすけたちを助けたりする体験はロボひろし自身のもので、それをみさえやしんのすけは共有する。あれもちゃんと野原一家の父としての行動で、そこにはコピーとしての自覚は無い。

結末は腕相撲でした。ラストシーンの前にも腕相撲をするシーンがありましたが、あそこで明らかなようにそのまま戦ってはロボひろしがノーマルひろしより強いことは明らかです。だが、結果としてノーマルひろしが勝利した。理由は、みさえです。

最後の腕相撲のシーン。しんのすけはどっちも応援します。しかし、みさえは違います。いや、両者とも応援する気持ちはあったとは思います。あの場面でみさえが放った言葉は「あなた頑張って!」。この「あなた」はロボとノーマルどちらとも取れます。だが、そこで力を発揮したのはノーマルの方でした。

思えば、屋上でみさえが久しぶりにノーマルひろしに会って抱きつくシーン。本来ならばあそこでロボひろしの役目は終わったように思えます。ロボひろしも精神としては立派な野原ひろしなのですから、あそこでみさえがどちらを欲しているのかは分かっていたはず。なのにそこでは食い下がらなかった。それは今作のテーマでもある「父親の威厳」から来るものでしょう。あれは最後の反抗であり、「この一家の長は自分で、妻や子どもは自分に従うべきだ」と主張したのではないでしょうか。

ロボひろしは最後のみさえの言葉で感じてしまいます。この「あなた」は目の前のノーマルひろしに対して発せられたのだと。逆説的ですが、ここでこの言葉が自分に対してではないと感じてしまったことがロボひろしの敗因であると言えるでしょう。あそこで自信満々に自分に対しての言葉だと思うことができればみさえの言葉でロボひろしも力を発揮し、腕相撲に勝てたかもしれません。

これは私の解釈にすぎませんが、ロボひろしが手を抜いたがためにノーマルひろしが勝ったと思うのは寂しいのでこう解釈しました。

 

また、しんのすけはさすがです。私はひろしがふたりいるということに気づくまで、ずっと疑問に思っていたことがありました。それは「しんのすけがロボとーちゃんのことをいつも通り『とーちゃん』とは呼ばずに終始『ロボとーちゃん』と呼んでいる」ことです。しんのすけは分かっていたのでしょう。これは”ロボ”とーちゃんであり、とーちゃんではないということに。

ですが、最後の応援するシーンで分かるように、しんのすけにとってはどちらも自分のとーちゃんであることに代わりはないのです。ロボとーちゃんもノーマルとーちゃんもとーちゃんなのです。アクティブで家の仕事をしっかりこなすひろしもとーちゃんで、肩車をしてぎっくり腰になってしまうひろしもとーちゃんなのです。つまりは、子どもにとって大事なのは家の中で威厳があり頼もしい父を見て「父親である」と思うのではないということです。どんな父親も子どもにとってはかけがえのない父親であるということです。

 

繰り返しになりますが、家族の中で子どもたちはどちらでもかまわないと思っている。どちらもとーちゃんだと思っている。しかし妻は違いました。あれだけ夫に対してなさけないと怒っていた妻が、最後にはそれでもあなたがいいと思った。勇気を持って立ち上がった、威厳のある父(夫)でなくてもかまわない。家庭内での立場が弱かったり、いつも妻に怒られていても立派な父親なのです。

この映画は父親の復権を目論むちちゆれ同盟の話ですが、結局はどんな父でも家族にとってはかけがえのない存在であると主張しているのだと思います。

 

笑えるシーンはたくさんありましたが、個人的に一番笑ったのはぎっくり腰で家で寝ているひろしに対して、ひまわりが足を後ろに蹴り上げつつ威嚇していたシーンでした。今回はあまり出番はありませんでしたが、ひまわりは本当におもしろい。

 

また、コロッケの五木ひろしのものまねはそこまで笑えませんでしたが、ただ単にひろしvsひろしにしたかったのでしょう。武井咲さんは自然で良い演技だったと思います。初挑戦とは思えません。

 

野暮ですが「父よ 勇気で 立ち上がれ」同盟でなぜ「ちちゆれ」なのか。普通に頭文字を取ったら「ちちゆた」でしょ!って思いました。もちろん「ちちゆれ」の方がおもしろいから良いんですけれど。

 

本当にこの映画は超超超超超超超おもしろかった!!!!